Microsoft Research Asia-Tokyo(東京ラボ)では、日本およびグローバルな社会・産業課題に応えるため、先進的なAI研究を推進しています。今回の記事では、東京ラボが注力する3つの主要な研究テーマをご紹介します。
なお、当コンテンツは、以下の4記事のシリーズとなっています。
- 「Microsoft Research Asia-Tokyo」設立:AIで日本と世界の課題解決へ
- 「Microsoft Research Asia-Tokyo」が挑む3大AI研究テーマとは?
(当記事) - マイクロソフトが描く未来:同社が推進する3つの具体的取り組み
- 「Microsoft Research Asia-Tokyo」が描く次世代AI人材育成プログラムとは?
Microsoft Research Asia-Tokyoで研究予定の3大トピック
同研究機関で、マイクロソフトは以下の3つの分野のAI活用の研究を進める予定です。
- Embodied AI: AIが「動き、考え、理解する」存在へ
- Societal AI: 社会を豊かにするAI技術の設計
- ウェルビーイング&ニューロサイエンス: AIで人々の幸福を向上
Embodied AI: AIが「動き、考え、理解する」存在へ
Embodied AIは、物理的および仮想的環境で複雑なタスクを遂行できるインテリジェントシステムの開発を目指す研究領域です。これにより、AIが単なるソフトウェアに留まらず、現実世界と対話し、行動する能力を持つようになります。
具体的には以下の技術開発が進められています:
- 環境認識:センサーやカメラを用いて周囲の状況を理解する能力
- 自然言語処理:人間と自然な対話が可能なコミュニケーション能力
- 動作計画:効率的にタスクを遂行するための行動プランの作成
- 適応学習:新しい環境や状況に柔軟に適応する能力
この分野の成果は、自動運転車、家庭用ロボット、仮想現実内のAIアシスタントなど、現実社会での実用的な応用が期待されます。
Societal AI: 社会を豊かにするAI技術の設計
Societal AIは、AI技術が社会に与える影響を探り、技術が人類にとってプラスとなるよう導くことを目的としています。このテーマでは、AIがもたらす倫理的・法的・社会的影響(ELSI)に対処しながら、持続可能な技術開発を進めています。
主な研究テーマには以下が含まれます:
- AIの公平性と透明性:偏見のない意思決定を行うAIの設計
- プライバシーとデータ保護:個人情報を安全に活用するための技術開発
- 社会実装:教育、医療、行政など幅広い分野でAIを応用
- 技術の民主化:AIの恩恵を社会全体に広げるための取り組み
これにより、AIが社会の発展に貢献すると同時に、潜在的なリスクを最小限に抑える仕組みを構築します。
ウェルビーイング&ニューロサイエンス: AIで人々の幸福を向上
この研究テーマは、脳科学の知見を活用し、AIと人間のインターフェースを再設計することで、人々のウェルビーイング(幸福度)を向上させることを目的としています。
研究の重点領域は以下の通りです:
- 脳機能の理解:AIを用いて脳の情報処理メカニズムを解明
- ヒューマン・コンピュータ・インタラクション(HCI):より自然で直感的なAIとの対話技術の開発
- 精神健康支援:ストレス管理や心の健康維持のためのAIツール開発
- 認知機能強化:学習支援や記憶力向上を目指したAI技術の研究
これらの取り組みにより、AIが人間の認知能力を補完し、生活の質を向上させることを目指しています。
ここまで、マイクロソフトが日本で取り組む予定のAI研究の3大トピックスをご紹介しました。
次の記事では、具体的にどのような連携・取り組みを想定しているか、という部分をご紹介します。
マイクロソフトのAIに関する日本での最新の取り組みにご興味がある方は、ぜひ次の記事もお読みください。