製造業のデータ活用事例7選と成功の4ステップ

前回までのページでは、製造業でデータを活用することでできること、ぶつかるであろう課題、扱えるデータの種類をご紹介しました。

製造業でデータを活用することで、生産性向上やコスト削減、顧客対応の改善など、多くのメリットが得られることを理解いただけたかと思います。特に重要なのは、前の記事でご紹介した5種類のデータを、どのように使うかです。

今回のページでは、実際にデータ活用がどのように製造現場で成功を収めたのか、7つの具体的な事例を紹介します。また、成功を収めるための4つのステップについても詳しく解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。

この記事の構成

  1. 製造業でのデータ活用とは?データ分析でできる4つのこと
  2. 製造業データ分析の2つの課題と解決策
  3. 製造業で活用できる5種類のデータとは?
  4. 製造業のデータ活用事例7選と成功の4ステップ(本ページ)
  5. ※各ページをクリックしてジャンプ可能

製造業における4つのデータ活用事例

データ活用の活用例

製造業でのデータ活用には多くの事例があります。以下では、4つの事例をご紹介します。

  • 製造業の顧客フォローの効率化した事例
  • データの収集と分析による付加価値向上した事例
  • データを活用した機械の予知保全した事例
  • >顧客や製品の需要予測した事例

 

製造業の顧客フォローの効率化

栗田工業は、水処理事業におけるDX推進を進める中で、顧客フォローの効率化を図りました。顧客親密性の最大化を目指し、Microsoft製品を活用してビジネスプロセスを改革しています。

データ活用以前は、栗田工業では顧客との接点で得られた情報が部門ごとに分散し、統一的な顧客対応ができていないという問題を抱えていました。顧客の訪問履歴や商談内容が各部署で異なるフォーマットやツールに記録され、検索性や一貫した対応が難しい状況でした。

そこで、Dynamics 365 Salesを導入し、顧客の訪問履歴や商談進捗を一元管理できるようにしました。このデータを全社員がリアルタイムで共有できるようになり、各部署が連携して顧客対応を強化することが可能になりました。

製造業のデータ活用事例7選と成功の4ステップ_製造業の顧客フォローの効率化

データを一元管理することに伴い、全社員に新しいシステムの使い方を教育し、データの正確性を保つための仕組み作りが課題となりました。しかし、この取り組みにより、顧客対応の迅速化が実現し、顧客満足度が向上。さらには、新規ビジネスの創出や売上向上にも貢献しています。

出典:マイクロソフト公式HP

データの収集と分析による付加価値向上

石垣は、AI技術を活用したデータ分析でサービスの付加価値を向上させています。同社は、上下水道インフラ機器の監視と予測を行うプラットフォーム「miyoru」を導入しています。

以前は、機器のデータ収集と分析を個別に行い、データの連携が不十分で、サービスの一貫性が欠如していました。そのため、サービスの品質向上が課題となっていました。

石垣はMicrosoft AzureのIoT Hubを活用し、機器の運転データをクラウドで収集。そのデータをAzure Synapse Analyticsを使って整理し、Azure Machine Learningにより自動で学習を進めることで、水環境の予測を行う仕組みを構築しました。

製造業のデータ活用事例7選と成功の4ステップ_データの収集と分析による付加価値向上

データを自動的に整形し、AIに渡すプロセスの効率化が課題でしたが、Azure Machine Learningへの移行によりこの問題が解決しました。

この結果、手作業が大幅に削減され、学習サイクルが高速化。より精度の高い予測モデルを提供できるようになり、提供する水質の品質が大幅に向上しています。

出典:マイクロソフト公式HP

データを活用した機械の予知保全

コマツ産機は、Azure AIを活用した予知保全システムを導入し、部品交換の最適化を図りました。これにより保全業務の効率化とコスト削減が実現しています。

従来、機械の部品は定期的に交換する必要があり、まだ使用可能な部品まで取り換えることで無駄なコストがかかっていました。また、部品の状態を確認するために多くのセンサーが必要となり、すべてのセンサーの取付作業だけではなく、保守工数も必要でした。

コマツ産機では、Azure Machine Learningを用いた予知保全システムを導入し、機械の稼働データをクラウドで管理。このデータを元に、劣化した部品の状態を可視化し、交換の最適なタイミングを予測することが可能になりました。

製造業のデータ活用事例7選と成功の4ステップ_センサーの予知保全

このシステムにより、部品交換の頻度が必要最小限に抑えられ、保全業務が効率化。最終的にはコスト削減と、機械の稼働率向上という成果を得ています。

出典:マイクロソフト公式HP

顧客や製品の需要予測

城南電機工業は、自動車用照明機器などの製造・販売を行う静岡県の中小企業で、需要予測にAIを導入しました。この取り組みにより、納入数の精度向上とコスト削減が実現されています。

同社は以前、発注内示数と実際の納入数に大きなズレが生じており、余剰在庫や欠品リスクが頻発していました。これにより無駄なコストが発生し、業務効率が低下していました。

そこで、AIに過去の受注データや発注内示情報を学習させることで、納入数量を高精度で予測するモデルを構築しました。このモデルにより、発注のタイミングや数量の調整が可能になりました。

製造業のデータ活用事例7選と成功の4ステップ_顧客や製品の需要予測

最終的に、納入数予測の精度が大幅に向上し、誤差率が52%から24%にまで改善され、余剰在庫の削減や業務の効率化が達成されました。この成功事例は他の中小企業にも参考となる内容です。

出典:I/O SYSTEM INTEGRATION公式HP

テクトラグループが支援した製造業向けのデータ活用事例3選

テクトラのAIとデータの導入事例

テクトラグループは、これまで製造業の企業を含めて、様々な企業のデータ活用を支援してきました。以下では、その一部をご紹介します。

  • 請求書処理の自動化
  • センサーの予知保全
  • 需要予測による顧客体験の向上

 

請求書処理の自動化

テクトラグループは、エンジニアリング企業で請求書処理の自動化をサポートし、多国籍な取引先の処理を効率化しました。

この企業は、複数の国で異なる承認プロセスを用いた大量の請求書処理に苦労していました。特に、ベンダーからの請求書が多言語で届くため、入力ミスや処理の遅延が頻発していたのです。

この事例では、Dynamics 365 Business Centralと人工知能(AI)を活用してベンダー請求書の認識とデータ入力の自動化を導入しました。これにより、Salesforceとのデータ連携を強化し、請求書処理の効率化が実現しました。

製造業のデータ活用事例7選と成功の4ステップ_請求書処理の自動化

最終的に、この自動化によりデータ入力の時間が大幅に短縮され、承認プロセスが統一されました。その結果、誤入力のリスクが軽減し、ベンダーへの支払いまでの時間が短縮される成果を得ています。

センサーの予知保全

この事例では、中国や香港に拠点を持つ製造業者に対して、センサーのデータを活用した予知保全システムの導入を支援しました。

この企業は、膨大な手作業と無駄なプロセスにより業務効率が低下しており、競争が激しい業界で顧客離れを防ぐためにも効率化が急務でした。特に、設備の故障予防や保全作業の最適化が求められていました。

テクトラグループはAzure Data Factoryを活用して、企業のセンサーデータをAzure Data Lakeに抽出。さらに、Azure Machine Learningを用いて機械学習モデルを開発し、設備の故障を予測するシステムを構築しました。

製造業のデータ活用事例7選と成功の4ステップ_センサーの予知保全

このシステムにより、保全作業の優先順位が最適化され、故障の予防が可能になりました。これにより、人手不足の解消やリソース配分の最適化が進み、顧客満足度が向上しました。

需要予測による顧客体験の向上

テクトラグループは、APAC諸国で事業を展開するプリンティングサービスおよびITサービス企業のデータ活用支援を行いました。この企業は、複数のデータソースが同期されず、異なる数値がレポートに反映される問題を抱えていました。

主な問題は、各国の文化やビジネス定義の違いによって、統一されたデータ基盤がなく、レポートの数値が一致しないことでした。これにより、正確な需要予測や意思決定が困難になっていました。

同社は、Dynamics 365 Finance & OperationsおよびCustomer EngagementのデータをAzure Synapse Dedicated SQL Poolに統合し、ビジネスユーザーが自己サービス型でレポートを作成できる環境を構築しました。これにより、データセットの再利用が促進され、業務の効率が向上しました。

製造業のデータ活用事例7選と成功の4ステップ_顧客や製品の需要予測

最終的に、このシステムにより、全社的に統一されたデータを元にしたレポート作成が可能になり、顧客体験の向上と需要予測の精度向上が実現しました。

データ活用の進め方 4ステップ

データ活用までに必要な手順

データ活用を進める際には、大きく分けると以下の4つのステップに分けて進めることがおすすめです。

  • 解決すべき課題の設定と目標の明確化
  • 必要なデータの収集とデータのクレンジング
  • データ分析による洞察の抽出
  • 分析結果を基にしたプロセスの改善

 

解決すべき課題の設定と目標の明確化

まず、製造業におけるデータ活用を効果的に進めるためには、最初に解決すべき課題を明確に設定し、その課題に対して適切なデータ活用方法を洗い出すことが重要です。

例えば、テクトラグループでは、製品の品質管理に関する問題を最優先課題と設定し、これに基づいてデータ収集と分析の方法を具体化しました。こうした初期段階での目標設定が、データ活用の成果を最大化する鍵となります。

ポイントとして抑えるべき点の一つは、複数の課題が存在する場合、それぞれの効果と実行難易度を評価し、優先度を決定することです。

解決の効果が大きいものの、実現が難しい課題ではなく、まずは効果が小さくても実行しやすい課題に着手することがおすすめです。これにより、早期に成果を上げ、関係者のモチベーション維持にもつながります。

もう一つの重要なポイントは、データを取得しやすい領域から始めることです。このポイントを押さえることで、リアルタイムデータの活用により、現場での迅速な意思決定が可能になります。

例えば、生産ラインでの温度や稼働状態のデータを活用することで、不具合の兆候を早期に発見し、対策を迅速に講じることが可能となり、結果的に生産効率や品質の向上につながります。

必要なデータの収集とデータのクレンジング

次のステップで行うのは、必要なデータの収集とその後のデータクレンジングです。

例えば、生産設備の異常検知を目的に、リアルタイムでのデータ収集を行い、適切なメンテナンス計画を立てるためにそのデータを活用しています。この段階では、収集したデータの質を高め、正確な分析が可能な状態に整えることが必要です。

ここで抑える必要があるのは、データの整合性と信頼性を確保することと、データ収集の効率化と一貫性を保つことの2点です。

まず、現場のセンサーやシステムから集めたデータは、フォーマットがバラバラであったり、欠損があったりする場合があります。

このため、まずはデータの欠損値を補完し、フォーマットを統一するなど、データクレンジングを行い、解析に適した状態へと整備することが大切です。

また、データを集める際には、現場ごとに異なるシステムやフォーマットが存在することも多いため、標準化されたプロセスやツールを導入することで、データ収集作業が一貫性を持って行えるようにする必要があります。

これにより、全体としてデータの質を保ちながら、効率的にデータを収集することが可能になります。

データ分析による洞察の抽出

データの収集とクレンジングが終わったら、収集したデータの分析を行います。

例えば、テクトラグループは製造現場で収集した稼働データを基に、AIを活用して設備の異常を予測し、メンテナンスの最適化を図っています。この取り組みにより、ダウンタイムの削減と生産効率の向上を実現しています。

データ分析のポイントとして、まず抑えるべきは、適切なツールや手法の選定です。データの種類や解決したい課題によって、最適な分析方法は異なります。

例えば、生産ラインの監視にはリアルタイムのダッシュボードが有効ですが、長期的なトレンドを分析する際は、時系列データ解析やAIによる予測が必要です。事前に目的に合った分析環境を整備することで、スムーズな運用が可能になります。

次に、分析結果を迅速に現場へフィードバックすることが重要です。データから得られた洞察を即座に生産活動に反映させることで、現場の迅速な対応や効率改善が進みます。分析結果を分かりやすい形で可視化し、誰でも理解できるようにすることも効果的です。

分析結果を基にしたプロセスの改善

データ活用は、分析を行って終わりではありません。データ分析の結果をもとに、オペレーションを変更したり新しい施策を打つことで、初めてデータの価値が生まれます。

例えば、テクトラグループは製造ラインのデータを解析することで、稼働効率の低下原因を特定し、生産計画の最適化を実現しました。この取り組みによって、ダウンタイムが大幅に削減され、全体の生産性が向上しています。

まず重要なのは、データ分析の結果に基づき具体的なアクションプランを策定することです。単にデータを集めて分析しただけでは効果が出ません。

現場の課題に合った改善策を明確にし、それを実行に移すことで初めて成果が得られます。例えば、機械のメンテナンススケジュールを最適化したり、ボトルネックとなる工程の自動化を進めたりすることが有効です。

もう一つのポイントは、分析結果を継続的にフィードバックし、プロセスの改善を定期的に見直すことです。一度の改善で満足するのではなく、定期的にデータを解析して問題点を発見し、さらなる改善を図る姿勢が必要です。これにより、業務プロセスは徐々に洗練され、競争力の強化につながります。

まとめ

製造業におけるデータ活用は、効率的な生産管理、需要予測、品質管理の向上など、多岐にわたる効果をもたらす重要な取り組みです。課題の設定からデータ収集、分析、プロセス改善までの各ステップを通じて、業務の最適化を図ることが可能になります。

この記事では、製造業でのデータ活用の4つのステップと、データ活用による実際の成果について紹介しました。テクトラグループが支援した事例でも、設備の稼働データを活用した予知保全や、請求書処理の自動化など、多くの成功例が確認されています。

テクトラグループは、これまでの経験と実績を基に、読者の企業がAIやBIを導入してデータ活用を進めるための支援を提供しています。

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