ステナブル経営とは
Dynamics Business Central にサステナビリティマネージメントの機能メニューが新たに追加となります(一部機能は正式リリース前のプレビュー段階)。これらの機能を利用すれば、サステナブル経営を実現できるのです。
どのように実現できるのかを説明する前に、まずはサステナブル経営とは何かを整理しておきましょう。
多くの企業がサステナビリティへの取組を進めています。各企業のホームページで会社、事業や商品の説明のほか、サステナビリティへの取組について多くの企業が記載しています。サステナブル経営(サステナビリティ経営)とは、環境・社会・経済の3つの観点から、持続可能な状態を実現する経営のことです。
経済だけではなく、環境・社会の観点からもサステナビリティに貢献している企業は、消費者や投資家からも良い評価を受ける傾向にあり、新たなビジネスの創出などのメリットがあります。
サステナビリティ経営の代表的で具体的な活動として温室効果ガスなどのサプライチェーン全体での削減への取組があります。
上図のスコープ1~3は以下の通りです。
スコープ1:工場や運送車両からの排出などの自社からの直接排出
スコープ2:電力やガスなど購入したエネルギーや部品・材料からの間接排出
スコープ3:原材料の輸送や廃棄までサプライチェーン全体の間接排出
(スコープ1,2以外のもの)
取組企業では、削減の目標計画を立て、日々の事業活動による排出量を記録し、目標と現状との差異を把握し、進捗状況を評価することになります。
なお、EUではサステナビリティ報告指令であるCSRD:(European. Union’s. Corporate. Sustainability Reporting Directive)や準拠しなければならないサステナビリティの開示要件であるESRS:( European Sustainability Reporting Standards )が定められ、EU域内の大企業や上場企業、あるいは、EUに子会社を保有する一定の条件の企業で報告を求めることを定めようとしております。
Business Centralの新機能
Dynamics 365 Business Centralにサステナビリティマネージメントの機能メニューが追加されました。
一部機能は正式リリース前のプレビュー段階ですが、次の機能から構成されています。
・サステナビリティ情報の収集・・・排出量を収集し記録する
・進行状況の追跡・・・・・・・・・目標の設定と目標に対しての進捗状況を把握
・報告・・・・・・・・・・・・・・報告用レポートや分析を行う
メニューに追加されたサステナビリティマネージャー機能は下表の通りです。
スコープ1やスコープ2については、Dynamics 365 Business Centralのサステナビリティマネージャー機能対応により、従来からの既存画面にサステナビリティ関連の項目(フィールド)が追加されます。
したがって、Dynamics 365 Business Centralのサステナビリティマネージャー機能のメニューは、新たに追加される画面の機能のみとなっています。
Business Centralによる実現イメージ
Dynamics 365 Business Centralのサステナビリティマネージメントの機能を利用すれば、サステナブル経営をどのように実現できるかを実現イメージで掴んでいただきましょう。
①サステナビリティ規定値の設定
②サステナビリティデータの取得
③レポート・分析
④目標値の設定
サステナビリティ規定値の設定
品目、品目カテゴリー、リソース、ワークセンター、マシンセンターなど既存のメニューにサステナビリティ関連の既定値を設定するフィールドが追加されます。
以下は、品目カード(品目マスタ)画面です。
既定CO2排出量、既定CH4排出量、既定N2O排出量で、排出量の既定値を該当の品目に設定できます。
サステナビリティデータの取得
スコープ2について、仕入先からの入荷にともなう排出量の登録を行います。上記の品目の既定値を使用するもののほか、いくつかの方法がありますが、一般仕訳帳画面を利用した登録を以下に記載します。
サステナビリティ勘定番号(勘定科目)のほか、合計排出量CO2、合計排出量CH4、合計排出量N2Oの項目(フィールド)で入荷品についての排出量を登録できます。
スコープ1について、自社の製造にともなう排出量の登録を行います。上記と同様に一般仕訳帳画面を用いても行えますが、製造オーダーであるリリース済製造注文画面を利用した登録を以下に記載します。
※プレビュー段階であるので英語の画面となります。
サステナビリティ勘定番号のほか、合計排出量CO2e(二酸化炭素換算)の項目で排出量を登録できます。
レポート・分析
既存のレポートに加えて、Power BIと分析用のツールがあります。以下に、CO2e分析と水・廃棄物の分析のサンプルを記載します。
【CO2e分析】
【水・廃棄物の分析】
目標値の設定
サステナビリティ活動の目標値を登録しておくことで、進捗状況を掴むことができます。
以下は、サステナビリティゴール画面です。
CO2などの現在値のほか、CO2のための目標値、CH4のための目標値、N2Oのための目標値、水強度のための目標値、廃棄物のための目標値の項目で目標値を登録できます。
上述のようにDynamics 365 Business Central を使用すれば、サステナビリティ機能を利用でき、ERP機能の中で他の業務機能と合わせてサステナブル経営に必要な機能を利用できるようになるのです。
ERPの導入をご計画の際は、是非、Dynamics 365 Business Centralをご検討ください。