Dynamics 365 Business Central進化するAI機能

AI(人工知能)

Dynamics 365 Business Central(以下、D365BCと略す)は、進化し続けています。Copilotを使用したAI機能との連携もD365BCのリリースアップごとに機能追加されて来ています。

新しい方向性を持ったD365BCのCopilot連携機能

D365BCのCopilot連携機能について、これまでのアシスタント機能から一歩踏み出して「自律的に動作してビジネスプロセスを自動化」するものです。
最初に提供される機能は、「販売注文エージェント」と「買掛金エージェント」です。
プレビュー段階の買掛金エージェント(Payable Agent)について試しに動かしてみました。

買掛金エージェント(Payable Agent)機能の概要

当機能は今後一般提供開始前のプレビュー段階を経て、一般提供開始となります。
まずは、米国、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドからの提供開始です。

当機能で提供が予定されている機能は、次のような内容です。

(1)仕入先からのメールから添付された請求書(Purchase Invoice)のPDFを受け取ります。
(2)請求書(Purchase Invoice)のPDFをAzure Document Intelligence のOCR機能で解読します。
(3)仕入先や明細行の品目の情報を識別し登録済のものであるかを確認します。
(4)Dynamics 365 Business Central の購買請求データのドラフトを生成します。
(5)仕入先や品目など識別できなかった場合は、ユーザーに入力が求められます。
(6)購買請求データのドラフトを確定して購買請求データ(Purchase Invoice)を作成します。

サポートが必要なときや、プロセスで担当者によるレビューが必要なとき (不足しているデータの追加など)、エージェントからの通知を検出します。
必要に応じて担当者は調整して、エージェントにフローを続けるよう指示します。

買掛金エージェント(Payable Agent)の使用例

プレビュー段階であるので、正式リリースで操作やメッセージの文言などが変わる可能性があります。

(1) メール受信の認識

買掛金エージェントがメールを受信したことを認識すると、その旨が表示されます。

(2)受信メール内容の表示と確認

画面左側に受信したメールの内容が表示されます。「View PDF」を選択するとPDFを確認できます。内容確認し問題が無ければ、「Continue」を選択します。

(3)購買請求データのドラフト準備

しばらくすると、分析して購買請求データのドラフトを準備した旨のメッセージが表示されます。ドラフト内容を確認するため「Review」を選択します。 

(4)購買請求データ(Purchase Invoice)の表示と認識不能箇所の明示

画面左側に購買請求データのドラフトが表示されます。Vendor 、LineのType 、No が Payable Agent で認識できなかったので、入力が求められます。

(5)認識不能箇所の入力

Payable Agent が認識できなかったフィールドに入力して、「Continue」を選択します。

(6)購買請求データ(Purchase Invoice)のドラフト準備

購買請求データ(Purchase Invoice)のドラフトが準備できた旨のメッセージが表示されるので、「Review」を選択します。

(7)購買請求データ(Purchase Invoice)のドラフト確認

画面の左側に購買請求データとメールに添付された Purchase Invoice の内容が表示され、最終確認を行います。問題が無ければ「Continue」を選択します。

(8)購買請求データ(Purchase Invoice)ドラフトの最終化

ドラフトが Confirm され最終化した旨のメッセージが表示されます。

買掛金エージェント(Payable Agent)の制約

当面、英語での利用に限定されること、日本の合計請求書の書式に対応できないことなど、日本での利用については制約がありますが、上記使用例のように仕入先からの請求書添付のメールに自動で対応し、購買請求データ確定までの処理を自律的に実行してくれるようになるのです。

このようなCopilot連携機能は、D365BCのAI利用を一段階上のステージに引き上げるものであり、日本での提供開始が待ちどおしいところです。

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