データ活用やAI導入に関心があっても、「実際にどのような成果が得られるか分からない」「どの分野で効果的に使えるのかが不明」という課題が多くの企業にあります。
本記事では、製造業や小売業、金融業など多様な分野でのデータ活用成功事例を15件紹介し、それぞれの成果や方法を解説します。
具体的な事例を通じて、読者は自社に合ったデータ活用のヒントを得られ、計画や実行に向けた道筋が明確になります。データ活用は効率化や迅速な意思決定を支える強力な手段です。事例から学び、自社での実現を目指して一歩を踏み出しましょう。
なお、この記事は、以下の2つのページで構成されています。気になるポイントがある場合は、直接それぞれのページに飛んで読み進めてください。
本ページでは、データ活用とはそもそも何か、データ活用の戦略とその立て方をご紹介していきます。
この記事の構成
- データ活用とは?戦略と5段階の策定プロセス
- 5つの分野での企業データ活用事例(本ページ)
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製造業での事例
デンソーの生成AIによるロボット制御技術
デンソーは、人とロボットが協働できる社会を実現するため、生成AIを活用したロボット制御技術の開発を進めています。
人の音声指示や、リアルタイムで収集されるセンサーからのデータを活用しています。生成AIは、インターネット上の膨大な情報を学習しており、これにより、人間の発話内容を理解し、対応するアクションを判断する能力を持っています。
人からの指示を解析し、AIが自律的に適切な動作を選択・実行する仕組みを構築しています。例えば、「眠気が覚める飲み物をください」といった曖昧な要求に 対しても、AIが判断してコーヒーを提供するなど、従来の固定的な動作登録に比べて柔軟な対応が可能となっています。
生成AIによるロボットの自律制御技術により、作業効率は飛躍的に向上しました。また、ロボットが柔軟に動作を選択できるようになり、従来のプログラム制御に依存しない、より人間的な対応が可能となったことも大きな成果です。
出典:マイクロソフト公式
クラレのリアルタイムデータ活用基盤構築
クラレは、Azure Synapse AnalyticsとPower BIを中核にしたデータ活用基盤を確立し、データソースの追加から提供までのプロセスを1日で完了する体制
を目指しています。
SAP ERPをはじめ、様々なグローバルシステムから抽出されたデータを活用しています。
これには、販売データや在庫データ、購買データ、月次で集約された予実管理データなどが含まれています。データソースの多様性に対応するために、Azure Data FactoryやAzure Data Lake
Storageも利用されています。
Azure Synapse Analyticsを活用して、データを統合し、データモデルを生成しています。
これにより、各事業部門がPower BIを通じてリアルタイムで必要なデータにアクセスできる環境を構築しました。また、REST
APIを通じて他のシステムにもデータを提供し、データ活用の範囲を広げています。
データ抽出と加工にかかる時間が大幅に短縮され、従業員は本来の業務に集中できるようになりました。
また、社内のデータ活用が進み、意思決定の迅速化や業務効率の向上が実現されています。さらに、今後はAIを活用した高度なデータ分析や予知、予防への応用も視野に入れた取り組みを進めています。
出典:マイクロソフト公式
プロテリアルのデータレイク基盤とガバナンス強化
プロテリアルは、Azure Synapse AnalyticsとPower BIを活用し、社内のデータを集約・可視化するデータレイク基盤を構築しています。これにより、データの全社横断的な管理とガバナンスの確立を目指しています。
同社は、製品別・アカウント別の売上損益情報など、財務データを中心に社内の広範な業務データを統合しています。これには、原価計算システムJ-CCOREsのデータが含まれており、これを基に全社的なデータ活用を進めています。
プロテリアルでは、Azure Synapse Analyticsを用いて、財務情報を中心としたデータの集約・統合を行い、Power BIでそのデータを可視化しています。これにより、経営層や事業部門が必要とする経営情報をリアルタイムで確認できるようにしています。
データレイク基盤の導入により、データの一元管理が実現し、業務効率が大幅に向上しました。経営層からのデータに対する要求にも迅速に対応でき、意思決定のスピードが向上しています。
出典:マイクロソフト公式
パナソニックのDynamics 365導入による業務効率化
パナソニックソリューションテクノロジーは、Microsoft Dynamics 365を導入し、業務システムの統合とリアルタイムなデータ可視化によって、経営データの活用を推進しています。
この戦略により、効率化とデータ駆動型の意思決定が可能となる企業体質の強化を図っています。
同社では、販売管理、商談管理、プロジェクト管理の各システムからのデータを統合して活用しています。これには、受発注や売上、債権・債務管理などの財務データ、さらにはリアルタイムに同期される商談情報や経営指標などが含まれ、これらの情報を元に経営判断を支えています。
Dynamics 365を中心に、商談管理と販売管理を統合。さらに、Power BIを活用して経営データの可視化を行い、経営層と現場がリアルタイムでデータを共有しています。
これにより、経営ダッシュボードの提供が実現し、業務効率の向上と企業全体の透明性が確保されています。
データ活用により、多重入力が解消され、業務の無駄を削減しました。また、全社員が経営データをリアルタイムで参照できるようになり、経営の一貫性と効率が向上。
Power BIを使った経営可視化の強化により、データに基づく迅速な意思決定が可能となり、社内の評価も高まっています。
出典:マイクロソフト公式
小売での事例
イオンのAI活用で顧客満足度と業務効率を向上
イオングループは、顧客データを中心に活用し、顧客満足度の向上と業務効率化を進めるデジタル改革を推進しています。
同社は、年間延べ数十億人の顧客データを含む販売データやPOSデータ、地域ごとの人口動態データなどを収集しています。これにより、顧客の購買行動や地域ごとの消費傾向を把握し、需要予測や商品開発の精度を高める施策を展開しています。
イオンは、データイノベーションセンター(DIC)を設立し、AI技術を活用した商品紹介文の自動生成や、POSデータと店長アンケートの組み合わせによる景気動向の可視化ツールを導入しています。また、出店予測AIにより、各地域に適した店舗配置を実現し、出店の効果を高める施策も進めています。
AIを活用した商品紹介文の自動生成により、従来より50%以上の工数削減が達成されました。
さらに、AIが作成した商品紹介文のPV数は手作業で作成したものの2倍を超える結果が得られています。また、出店予測AIの導入で、出店戦略の精度が大幅に向上し、効果的な店舗展開が可能となっています。
出典:マイクロソフト公式
金融での事例
シンプレクスがMicrosoft 365 E5を活用しゼロトラストセキュリティとインシデント対応を強化
シンプレクスは、ゼロトラストセキュリティの導入を通じて、クラウドとネットワークの統合管理を進めるデータ活用戦略を採用しています。
同社は、Microsoft 365 E5を活用し、セキュリティの強化に向けた様々なデータを統合管理しています。ID監視やクラウドアプリの保護など、金融業界に求められる厳しい基準をクリアしたデータをリアルタイムに活用し、脅威の検知や対応を行っています。
データは、脅威の早期発見やインシデント対応の迅速化に活用されています。Microsoft Defender XDRを用いたインシデント対応では、データをもとに過去の事例や推奨対応方法が提案され、スマートフォンなどからも迅速に対応が可能です。
これにより、セキュリティ対策の強化だけでなく、インシデント対応にかかる工数を大幅に削減する成果が得られました。また、Copilot for Securityの導入により、新規参画メンバーの育成にも効果が出ており、セキュリティチーム全体のスキル向上にも寄与しています。
出典:マイクロソフト公式
クレディセゾンが全社的なIT環境の刷新と生産性向上を目指してゼロトラストセキュリティを導入
クレディセゾンでは、ゼロトラストセキュリティの導入を通じて、全社的なIT環境の刷新とデジタル化を推進するデータ活用戦略を採用しています。
この戦略では、Microsoft 365 E5を活用し、社員の生産性向上と顧客体験の改善を目指したデータを活用しています。ユーザーのID管理からデバイス監視、クラウドアプリのアクセス制御に至るまで、一元管理を行い、安全な環境での業務プロセスのデジタル化を実現しています。
クレディセゾンはデータ活用を通じ、セキュリティの強化だけでなく、業務の効率化やインシデント対応のスピードアップにもつながっています。
特に、デバイス管理やクラウドファイルの監視、情報分類を通じたデータの扱い方の最適化が、迅速な意思決定と業務効率化を支えています。
出典:マイクロソフト公式
明治安田生命がAzure Red Hat OpenShiftを活用しクラウドネイティブ化とDX推進を実現
明治安田生命保険相互会社は、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するため、Azure Red Hat OpenShiftを中核としたクラウドネイティブ戦略を採用しています。
この戦略の一環として、同社はコンテナ基盤の導入を進め、Azure Red Hat OpenShiftを活用して、アプリケーションのマイクロサービス化を推進しています。これにより、開発者はリソースの払い出しやアプリケーションのデプロイをセルフサービス型で実行できるようになり、効率性が大幅に向上しています。
同社は、クラウドネイティブ化によって開発スピードと柔軟性を高め、生成AIアプリケーションの共通プラットフォーム構築も視野に入れています。また、GitHub
Copilotの活用により、さらなる開発効率の向上を目指しています。
出典:マイクロソフト公式
営業での活用事例
ノーリツがDynamics 365 Salesを活用し営業マネジメントを強化し販売実績を向上
ノーリツは、営業のマネジメント強化と行動変容を目指し、2018年から営業支援ツール(SFA)の導入を進めてきました。最終的に採用されたのは、シンプルで操作性に優れ、Microsoft
365との連携が可能なDynamics 365
Salesです。
このツールでは、営業活動履歴や顧客接点のデータを一元管理。営業担当者の訪問履歴や活動内容が見える化され、効率的なマネジメントを実現しています。また、営業担当者は自身の行動を振り返り、課題に対して重点的に取り組むことが可能になりました。
これによって、最上位機種である「プレミアム給湯器」の販売実績が大幅に向上。販売数が毎年1.5~2倍増加し、マネージャーの業務効率も改善され、営業活動全体の質が向上しています。
出典:マイクロソフト公式
タカギがMicrosoft Azure PaaSで修理依頼サイトのコスト削減と運用効率化を達成
タカギは、修理依頼サイトの運用コスト削減と管理負担軽減を目的として、データ活用戦略の一環で Microsoft Azure のPaaS機能を活用したクラウド移行を行いました。
これにより、ソフトウェアライセンスやパブリッククラウド費用が大幅に削減され、TCOを1/3にまで抑えることに成功しています。
同社では、顧客の修理依頼やアフターサービスを管理するために、サイト上でさまざまなデータを活用しています。
以前は他社のクラウドサービスを利用していたため、運用コストが高く、管理作業も複雑化していましたが、Azureへの移行によって、データの管理とアプリケーション運用の効率化を実現しました。
これにより、システムの変更要望に迅速に対応できるようになり、開発者も前より管理がしやすくなったと感じているようです。
出典:マイクロソフト公式
日本たばこ産業(JT)がPower Appsを活用し業務システム刷新とローコード開発を推進
日本たばこ産業株式会社(JT)は、変化する市場環境に対応するため、データ活用戦略として自社の業務システムを刷新しています。主に、現場のニーズに迅速に対応することを目的に、Power Appsを活用してローコード開発を促進しています。
JTでは、販売店や顧客との接点を管理するため、営業活動のデータを集約・可視化しています。これにより、販売促進や顧客ニーズの把握が効率化され、特にデバイスを使用するRRP製品の販促活動が強化されています。
Power Apps を活用することで、JTの社員は独自のアプリを自ら開発でき、現場で必要なツールを迅速に導入可能です。この結果、外部ベンダーへの依存が減り、コスト削減とシステム変更の迅速化が実現しました。
500を超えるアプリが開発・運用されており、業務効率の大幅な向上が実現しました。特に、返品処理の自動化アプリなどが現場の負担を軽減し、さらなる業務改善につながっています。
出典:マイクロソフト公式
マーケティングでの事例
ジェイアール東日本企画がMicrosoft TeamsとゼロトラストセキュリティでDXを推進し業務効率化を図る
ジェイアール東日本企画(jeki)は、社内のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進を目的に、Microsoft Teamsの活用やゼロトラストセキュリティの強化を進めています。
データ活用戦略として、従来の境界型セキュリティから脱却し、Microsoft 365 E5 Security を活用することで、クラウド利用の可視化や強固なセキュリティ環境を実現しています。
jekiでは、社内外のコミュニケーションを最適化するため、MicrosoftTeamsを導入し、チャットや会議、ファイル共有を一元管理しています。特に、ゼロトラストセキュリティの考え方に基づき、アクセス管理やクラウドサービス利用を一括で可視化できる仕組みが整備され、情報の安全性が高まっています。
導入されたデータ活用の成果として、各種セキュリティツールが統合され、社内外でのセキュリティリスクに対する即応力が向上しました。これにより、クラウドサービスの自由な利用が可能になり、業務効率化と生産性向上が実現しています。
出典:マイクロソフト公式
P&GがAzureを活用しグローバルデータ活用戦略で製品提供と市場競争力を強化
P&Gは、顧客への最適な製品提供を目指し、データを活用した戦略を進めています。具体的には、マルチクラウド環境とデータ分析によって、グローバルな視点でビジネスの意思決定を支えています。
同社は、消費者の購買行動や製品選好に関する膨大なデータを収集し、Azure Synapse AnalyticsやPower BIを活用して、サプライチェーンの最適化や製品開発に役立てています。このデータにより、消費者のニーズにリアルタイムで応えています。
また、データを用いた予測モデルにより、在庫管理や小売業務の改善を図り、地域ごとの消費者動向に基づくマーケティング戦略を実施。これにより、より正確で迅速な意思決定が可能になりました。
P&Gのデータ活用戦略は、製品開発のスピードと正確性を向上させるとともに、売上向上にも寄与しています。
出典:マイクロソフト公式https://customers.microsoft.com/ja-JP/story/1423204668533486849-procter-and-gamble-consumer-goods-azure-jp
需要予測での事例
集英社のデータ分析基盤で作品評価を強化
集英社は、多様なコンテンツの売上データやオンライン書店の情報を統合し、作品力を測定するためのデータ分析基盤を構築しています。これにより、デジタル時代における作品の評価指標を把握しています。
同社では、紙媒体とデジタルコンテンツの販売データを中心に、アニメや映画、イベントなどに関連するデータも活用しています。
各販売チャネルやオンライン書店、グッズ展開などから集められたデータは、Azureの基盤に蓄積され、これらを組み合わせて統合的な分析を行います。これにより、各作品の売上や評価をより多面的に理解できるようにしています。
Azure Synapse Analyticsを用いたデータ分析基盤を導入し、Power BIでのデータ可視化により、編集部や販売部がリアルタイムで作品の売上動向を把握しています。
また、Microsoft Purviewを利用してデータの管理を効率化し、データの統合・共有を進めることで、編集部員が必要なデータに簡単にアクセスできる環境を整えています。
データの可視化によって、従来は手間のかかっていた販売データの分析が迅速に行えるようになり、業務効率が大幅に向上しました。
さらに、紙媒体とデジタル販売のデータを統合して比較できるようになり、作品力の評価指標が多様化しました。これにより、現場での意思決定が迅速化し、新しいマーケティング施策の立案にも役立っています。
出典:マイクロソフト公式
ライフコーポレーションのAI需要予測を活用した自動発注データ活用戦略
ライフコーポレーションでは、AIを活用した自動発注システムを導入し、店舗運営の効率化を目指しています。BIPROGYの「AI-Order Foresight」を導入し、生鮮部門における発注業務をデータドリブンで自動化する戦略を採用しています。
AI-Order Foresightは、販売実績、気象情報、特売企画情報など、さまざまなデータを活用し、精度の高い需要予測を行っています。
このシステムにより、店舗の発注業務が従業員の経験やスキルに依存することなく、安定した運営が可能になっています。また、長期間の予測を実現することで、生鮮品の発注精度も向上させています。
発注作業の自動化により、発注業務時間が削減され、また、品切れや廃棄ロスを減少させる効果が期待されています。導入されたシステムは、精度の高い予測を提供し、発注作業の効率化を実証しており、今後、全店舗での適用が進む予定です。
データ活用の結果、ライフコーポレーションは業務負担の軽減や運営効率の向上を実現し、ビジネスの最適化に大きく貢献しています。特に、発注精度の向上により、店舗の運営がより安定し、顧客満足度の向上にも寄与しています。
出典:IT Leaders
データを活用したいけど悩んでる時、最初にやるべきこと
データ活用は、企業の成長と競争力強化のための強力な手段です。データ活用戦略を構築することで、企業は膨大なデータを効果的に収集・分析し、新たなビジネスチャンスを発見できます。
また、マーケティングの精度向上や迅速な意思決定をサポートし、問題解決の道筋を早期に提供します。これにより、データに基づく意思決定が可能となり、業務の効率化と成長が期待できるでしょう。
とはいえ、「データを活用したい」と思っていてもなかなか最初の一歩を進めるのはハードルが高いかもしれません。
そんな時は、まずデータで何をやりたいのか整理から始めてみましょう。抱えている課題や目標を整理することで、まずは何に活用したら良いのか見えてきます。特に、身近な業務や課題解決で活用できるデータがあれば、そこから考えてみるのも良いかもしれません。
ちなみに、テクトラでは、データ活用の初期段階から戦略策定、ツール選定、導入支援まで、すべてを包括的にサポートしています。
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まずは、下記ボタンからお気軽にお問い合わせください。担当者より折り返しご連絡し、貴社の課題やニーズをお伺いしたうえで、具体的な進め方をご案内いたします。
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