進化し続けるMicrosoft Dynamics 365 Business central

Microsoft Dynamics 365 Business Central は、毎年のリリースアップにより新しい機能の追加のほか、機能の改善が行われています。2025年4月にリリースされたバージョンでは、機能の改善が多くありました。

リリースアップによりいかに機能改善が実現するかを理解していただくために、例として、生産管理機能で改善された内容について説明していきます。

(1)製造オーダーの構成品(BOM)画面への利用可能性情報の表示

生産を行うに当たり、生産に使用される部材の在庫があるのかを確認する必要があります。それを容易に行えるように、製造オーダーの構成品(BOM)画面で確認ができるようになりました。

以下のように、画面右側に表示される情報ボックスに在庫の利用可能性が表示されます。

(2)製造BOM関連機能の改善

製造BOMを登録・編集する「製造BOM」画面で「Excelで編集」の機能が追加されました。これにより製造BOMをExcelから登録したり、Excelで変更したりができます。

品目マスタ画面から複数ある製造BOMバージョンのうち、活動中(アクティブ)の製造BOMを参照できるようになりました。以下のように「製造活動中BOMバージョン」のメニューが追加されました。

また、「製造BOMバージョン比較」画面でBOMバージョンの構成品の構成や数量の比較を容易に確認できるようになりました。

「製造BOM品目を交換」画面で不要になった製造BOMを削除できるようになりました。

(3)Excelで編集機能の追加

「Excelで編集」機能は件数の多い追加や修正をExcelで行える便利な機能です。この機能が次の各画面に追加されました。

・品目元帳明細:品目の数量変更などを登録
・消費仕訳帳 :製造オーダーの部材の消費量を登録
・生産高仕訳帳:製造オーダーの製品の生産数を登録

以下は、「品目元帳明細」画面の例です。

なお、この「Excelで編集」機能は便利で有効な機能ですので、生産管理以外の業務機能でも機能追加が行われています。

(4)生産実績のある製造オーダーのキャンセル

誤って生産実績を登録してしまった場合など、生産実績をキャンセルしたい場合があります。製造実績を登録すると、部材消費や製品生産の実績レコードである「品目元帳明細」や生産設備や生産担当者などのリソース消費の実績レコードである「能力元帳明細」が記録されます。

したがって、生産実績をキャンセルするには、これら実績明細のレコードを逆仕訳する必要があります。

容易に生産実績のキャンセルを行えるように「製造明細を逆仕訳」のメニューが追加されました。以下のようにこのメニューを選択するだけでキャンセルが行え、生産実績の明細レコードの逆仕訳が生成されます。

(5)完了した製造オーダーを再度開く

製造オーダーを完了した後に、製造実績の誤りに気付いた時など、容易に間違いを修正するために再度オープンすることができるようになりました。

以下のように完了した製造オーダーである「終了済製造注文」の画面で「再オープン」を選択するだけで、実現できます。

(6)製造オーダーの超過ピッキングを有効化

生産に当たり、部材を所定の数量を超えてピッキングできるようになりました。

以下のように、部材の品目について「倉庫超過ピッキングを許可」をオンにすれば超過ピッキングが可能になります。

(7)生産出荷から品目をブロック

特定の品目または品目バリアントが生産出荷として使用されないように制御できます。

以下のように、品目や品目バリアントのマスタで、「製造ブロック済」をオンにします。

(8)非在庫品目を生産品目の原価に含める

非在庫品目を生産品目の原価に含めることができれば、製造原価計算精度が向上します。

これを実現するには、以下のように生産管理機能の基本的な設定を行う「製造セットアップ」(生産管理のパラメータ)の「非在庫品目を製造済品目に含める」をオンにします。

これにより、非在庫品目を製造原価に含めることができます。

以上、ご説明してきましたように、Dynamics 365 Business Central は進化し続けているのです。ERPの導入をご計画の際は、是非、Dynamics 365 Business Centralをご検討ください。

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